9月26日(土)「田舎の日曜日」

「田舎の日曜日」('84・仏)監督・脚本:ベルトラン・タベルニエ 原作:ピエ−ル・ボスト 脚本:コウロ・タベルニエ 撮影:ブル−ノ・ド・ケイザル 音楽:ガブリエル・フォ−レ 出演:ルイ・デュクル−/サビ−ヌ・アゼマ/ミシェル・オ−モン
★'12年初秋のパリ郊外。初老の風景画家ラドミラルは自然にとりかこまれた家に家政婦のメルセデスとふたりで住んでいる。今日は日曜日。いつものようにパリから息子ゴンザグが嫁のマリ−・テレ−ズと3人の孫を連れてやって来る日だ。息子夫婦が到着すると、陽光を浴びて樹木が美しく輝く広い庭に子供たちの陽気な声がこだまする。そこに不意に娘のイレ−ヌが立ち寄る。イレ−ヌはラドミラルの自慢の娘で、好奇心に満ち、いつも恋をしていた。ラドミラルをかこんだひさびさの家族の団らんの中で田舎の日曜日が過ぎていく・・・。優しい色調に彩られた自然を背景に、古き良き時代の美しい一日を描いた牧歌的な作品。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎初見時にはフランスの田舎の光景と、老境に差し掛かった画家と彼を繞る息子家族と奔放な恋に生きるかとみえる娘が或る日曜日に集って陽光の下にさりげない日常を共に愉しむ何気ないドラマと見せながら、その背後に確実に忍び寄る時(死)の流れを実に坦々と描いていると感じて、感銘を受けたものだった。今回見直してみてその感銘を新たにしたのだったが、イレ−ヌと兄のゴンザグの関係の描き方がやや類型的で、もっと掘り下げることが出来たらもっと感動的な人生詩になったのではないかと思ったことだった。呑気呆亭