12月4日(金)「ビバリ−ヒルズ・バム」

「ビバリ−ヒルズ・バム」('85・米)製作・監督・脚本:ポ−ル・マザ−スキ− 原作:ルネ・フォ-ショワ 脚本:レオン・カペタノス 撮影:ドナルド・アクアルパイス 音楽:アンディ・サマ-ズ 出演:ニック・ノルティ/リチャ-ド・ドレイファス/ベッド・ミドラ−
ビバリーヒルズの金持ち一家に入り込んだ浮浪者が、持ち前の教養と性格で次第に皆を感化し始める。ジャン・ルノワールの名作「素晴らしき放浪者」(32)を、舞台をハリウッドに移してリメイク。P・マザースキーが上流階級の馬鹿馬鹿しさを笑い飛ばしている。浮浪者に扮するN・ノルティの豪快なキャラクターと、彼に振り回されるR・ドレイファスの対比が面白い。<allcinema>

◎ボロボロ・でぶでぶで、もうこれ以上堕ちようがないと開き直った浮浪者が、相棒のワン公にも遂に愛想を尽かされてペットロスに陥るという冒頭の設定が面白い。絶望した浮浪者が成金のドレイファスの邸宅に紛れ込んで、プ−ルで自殺を図ることから物語が動き始める。迷惑を受けた側のドレイファスだが、虚栄心に裏打ちされた博愛精神から浮浪者を世話することになるのだが、最初は浮浪者を毛嫌いしていた家族たちが次々に彼に影響されるに及んで、主役の座を奪われる恐れに本来の素朴な差別感を露わにし始める。そのあたりのドレイファスの演技が見もので、浮浪者ノルティのふてぶてしい演技との対比が素直に笑わせてくれる。呑気呆亭