12月3日(木)「汚れた血」

汚れた血」('86・仏)監督・脚本:レオス・カラックス 撮影:ジャン・イヴ・エスコフィエ 音楽:ベンジャミン・ブリテン/セルゲイ・プロコフィエフ/シャルル・アズナブ-ル/デヴィッド・ボウイ/セルジュ・レジアニ 出演:ジュリエット・ビノシュ/ドニ・ラバン/ミシェル・ピコリ/セルジュ・レジアニ
ハレー彗星が再び近づく近未来を舞台に、才人カラックスが独創的な映像世界を展開するSF的なフィルム・ノワールにメロドラマの要素が溶け込んだ作品で、熱狂的に世界の若い観客に迎えられた。愛なきセックスによって伝染する“STBO”という奇病が蔓延するパリで、ジャンという男がメトロで死ぬ。友人マルクは彼が金貸しのアメリカ女に殺されたのではと疑いを持つが、彼女から汚れた金を借りていたのはマルクも同じだった。その返済のため、ある製薬会社が開発した“STBO”の特効薬を盗み出そうと誘われたジャンの息子アレックスは、マルクがつれ添うアンナに密かに心魅かれしぶしぶ承諾。計画は実行されるが、そこにアメリカ女の目は光っていた…。マルクにM・ピコリ、アレックスにD・ラヴァン、アンナにJ・ビノシュ。エスコフィエの、特に夜間撮影が素晴らしい。ビノシェが風のように走り、まさに風になってしまうラスト・ショットが鮮烈だった。
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◎前作の「ボ−イ・ミ−ツ・ガ−ル」を再見してラストまで見終えることが出来なかったので、これはどうかなと変な期待を持ちながら見始めたのだが、これは中々面白かった。筋立てはあまり練られたモノとは思えなかったが、随所に挿入される斬新な映像が映画を見るということの面白さを与えてくれたし、それよりも何よりもジュリエット・ビノシュの天与の美貌がこの作品の魅力のすべてだと言っていい。おかげでドニ・ラバンも光っていた。呑気呆亭