9月30日「カントリー」

「カントリー」('84・米)監督:リチャ−ド・ピア−ス 脚本:ウイリアム・D・ウィトリフ 撮影:デビッド・M・ウオルシュ 音楽:チャ−ルズ・グロス 出演:ジェシカ・ラング/サム・シェパ−ド/ウイルフォ−ド・ブリムリ−
大恐慌以来の農業危機といわれる、近年の米国農業の経営難を描いた問題作。物語は、アメリカ中西部・アイオワ州の農家の働き者の農婦が、不作や借金、役立たずの夫など、数々の問題を抱えながら、それを乗り越えていくさまを描く。ラングが農婦を熱演。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎確かに自ら製作に携わり主演の農婦をえんじたラングの熱演はなかなかのモノだが、見ていて違和感を覚えざるを得ないのは経営危機に陥っているこの家族の食卓の豊かさなのである。広大な農地を所有し何台もの車を乗り回しているこの家族は、果たして貧しいのか?役立たずの夫に見切りをつけて農家を団結させることで窮境を脱した農民たちが、その団結力をもって後には強力な圧力団体と化し、最近のTPP問題では米国の利益ばかりを押し付ける勢力となっていることを思えば、資本というものの道義のなさを思わざるを得ない。呑気呆亭