8月20日(木)「熱砂の日」

「熱砂の日」('82・英)監督:ジェ−ムズ・アイボリ− 原作・脚本:ル−ス・ブラヴァ−・ジャブヴァ−ラ 撮影:ウォルタ−・ラサリ− 音楽:リチャ−ド・ロビンズ 出演:グレタ・スカッキ/ジュリ−・クリスティ−/シャ−シ−・カプ−ル/クリストファ−・カズィノウブ/ザキ−ル・フセイン
★「眺めのいい部屋」のJ・アイヴォリー監督が、大叔母と、その軌跡を追うヒロインの、二人の女性がたどる愛の模様を、互いに交錯させながら描いた作品。<マーチャント=アイヴォリー・プロ>専門のジャブヴァーラが自らの原作を脚本化。'20年代。イギリス支配下にあったインドにやってきたオリビア。彼女には夫がいたが、インドの太守と恋に落ちてしまう。そして半世紀後、一人のイギリス人女性アンが、叔母のオリビアの足跡をたどりインドへやってくる。アンもまた、オリビアと似た人生を歩もうとしていた…。<allcinema>

◎明晰な知性と自我を持った女性が、男社会でそのデグニティを保って行くにはどうすれば良いのか。オリビアはインドで出会った太守のイギリスの男性にはない危険な匂いと奔放な個性に、夫のある身でありながら次第に惹かれて行く。その太守は彼女の自覚していないエキセントリックな部分を、女の衣装を着て踊る歌舞団を見せて、君は「女・男=ヒジラ」だと喝破する。遂に彼女は太守に抱かれるのだが意に反して妊娠してしまう。彼女にとって妊娠とは否応なしに自分の女性性と動物性を意識せざるを得ない現象だった。当然ながら男には分からない胎内に自分とは別の命を宿すとはどんな経験なのだろうか。オリビアはその命を中絶し、大叔母の生まれ変わりを意識したアンはオリビアが最期をすごした場所を訪問し、胎内に宿った命を生むことを決意する。呑気呆亭