8月13日(木)「溝の中の月」

「溝の中の月」('82・仏)監督:脚本:ジャン・ジャック・ベネックス 原作:デビッド・グ−ディス 脚本:オリビエ・メルゴ− 撮影:フィリップ・ル−スロ 音楽:ガブリエル・ヤ−レ 出演:ジェラ−ル・ドパルデュ−/ナスタ−シャ・キンスキ−/ビクトリア・アブリル/ベルティス・リ−ディング
アメリカのサスペンス作家グ−ディスの原作をもとに、「ディ−バ」で衝撃的デビュ−を飾ったフランス若手監督ベネックスが映画化。ある港町の路地裏でひとりの娘が惨殺された。彼女の兄は復讐を誓い、その犯人を執拗に捜し求める。男と恋におちる“山の手”の娘キンスキ−の天賦の美貌が圧巻。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎映像がほとんど夜のシ−ンのために暗くて見難い。主演のドパルデュ−も最初は無頼な感じを漂わせていて好いのだが、どう見てもバンパイヤとしか思えないキンスキ−に惚れると、やたら結婚に拘り出したりしてみっともない男に成り下がる。“オイオイ、妹の復讐はどうしたんだよ!”と眠気をこらえながら突っ込みを入れつつやっとの思いでFINのマ−クにたどり着いたのだった。いつ頃からだろう、フランス映画がかつての明晰さを失って難解を気取ればゲイジュツだと思い込み始めたのは。ベネックスのその後がハリウッドの焼き直しに堕したのはだれもが知る。快作「ディ−バ」に喝采したものとしては淋しいかぎりである。呑気呆亭