8月12日(水)「スキャナ−ズ」

「スキャナ−ズ」('81・カナダ)監督・脚本:デビッド・クロ−ネンバ−グ 撮影:ロドニ−・ギボンズ 特殊効果:マ−ク・ア−ウィン/ゲ−リ−・セラ− 音楽:ハワ−ド・ショア 出演:スティ−ブン・ラック/ジェニファ−・オニ−ル/マイケル・アイアンサイド/パトリック・マッグハ−ン
★D・クローネンバーグの名を一気にしらしめたSFホラーのヒット作。超能力者(スキャナー)を使って警護を行う警備会社に組み込まれた主人公ベイル(ラック)。科学者の手によってその能力をさらに開発されたベイルに与えられた任務は、恐るべき力で世界を支配しようとする裏のスキャナー、レボック(アイアンサイド)の追跡だった。かくして始まった、スキャナー同士による壮絶な超能力戦争が描かれていくのだが、そこはクローネンバーグ、勧善懲悪的ストレートな娯楽作品になろうはずもなく、人間関係ばかりでなくSFXもドロドロとしたものになっている。序盤の公開実験でレボックが行う頭蓋破壊シーンや、実は兄弟であったレボックとベイルのスキャン合戦など、折からの特殊メイク人気に乗って登場したSFXは素晴らしく、作品の方向性を決定づけたとも言えるだろう。第1作「スキャナーズ」(81)に始まり、「スキャナーズ2」(90)、「スキャナーズ3」(91)と続いた後、超能力警官を主人公とした新章「スキャナーズ ニュー・エッジ/ザカリアス」(93)、「スキャナーズ5/ザカリアス・リターンズ」(94)の全5作が作られた。<allcinema>

◎超能力モノとしては我らが「AKIRA」に先立つこと7年、念力によって人の頭蓋を破壊させるシ−ンは衝撃的であった。しかし悪のスキャナ−・レボック(アイアンサイド)に対する善のスキャナ−・ベイル(ラック)の個性がいかにも弱いのが難か。いやいや、それはクロ−ネンバ−グが意図的にキャステイングしたのに違いない。マイケル・アイアンサイドという凄まじい個性の役者の起用によって、ラストの“れれれ・・・?”がより効果的になっているのはその仕掛けによる。呑気呆亭