6月17日(水)「アメリカの友人」

アメリカの友人」('77・独=仏)監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース 原作:パトリシア・ハイスミス 撮影:ロビ−・ミュ−ラ− 音楽:ユルゲン・クニ−バ− 出演:デニス・ホッパ−/ブル−ノ・ガンツ/ジェラ−ル・ブラン/ダニエル・シュミット/ニコラス・レイ/リサ−・クロイツア−/ル−・カステル
ヴィム・ヴェンダース、31歳の時に撮った長編第7作。白血病で死の不安に生きているハンブルグの額縁職人ヨナタン。彼を殺人にはめ込み、完全犯罪を進めながら危険な友情にはまりこんでいくトム・リプレー。死んだ筈の画家の贋作を書いているポガッシュ。物語は、サスペンスに富む発端の画の競売シーンから、この3人の絡んだストーリーを小気味よいテンポで進めていく。現代の狂気と不安とを大きく描くヴェンダースの良作。そして、ホッパーの怪演は圧巻。原作はパトリシア・ハイスミス
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白血病で死の不安に生きているハンブルグの額縁職人ヨナタン、という設定がそもそもありきたりで、それを利用して殺し屋に仕立てるという筋立ては噴飯モノというしかない。発端の画の競売シーンで自身が出品した絵を贋作と見抜き、歯に衣着せぬ物言いをするヨナタンに興味を抱き、彼の額縁職人としての腕に触れ、自らの詐欺師という職業への反転として倒錯的な友情を抱くに至るリプレ−の気持ちは理解できるのだから、こんな無理な設定を捨ててもっと地道な物語をヴェンダースは紡ぐべきだったのではないだろうか。呑気呆亭