5月2日(土)「さらば愛しき女よ」

さらば愛しき女よ」('75・米)監督:ディック・リチャ−ズ 原作:レイモンド・チャンドラー 脚本:デビッド・Z・グッドマン 撮影:ジョン・A・アロンゾ 音楽:デビッド・シャイア 出演:ロバ−ト・ミッチャム/シャ−ロット・ランプリング/ジョン・アイアランド
★R・ミッチャムのマーロウが、ラジオから流れるディマジオの連続安打記録をやたら気にしてて、それが巧い開幕と終幕をつくっており、さらに時代色をも出している。実際、撮影にしろ美術にしろ、40年代初頭のLAの雰囲気を心憎いほど掴んでいる。S・ランプリングの魔性の女ぶりも素晴らしく、ジャジィな音楽に心はすっかりチャンドラーの世界。ハード・ボイルドと呼ぶにはあまりにウェットで曖昧な彼の文学に、最も近いテイストを持った映画化作品だろう。<allcinema>

◎けだるい音楽と共にけだるいドラマがけだるい俳優によって演じられるのだが、それが実に好いときては、他のマ−ロウを演じた俳優たちが“それって反則だろ!”と叫び出すんじゃないか、っていうのは冗談だが、これとポランスキ−の「チャイナタウン」を二本立てで、今はなくなってしまったあの「新橋文化劇場」で観られたら、それこそB級映画ファンにとっての至福の時間を味わえただろうと思ったことだった。呑気呆亭