5月6日(水)「BU・SU」

「BU・SU」('87・東宝=A・S・C)監督:市川準 脚本:内舘牧子 撮影:小林達比古 音楽:板倉文 出演:冨田靖子/大楠道代/伊藤かずえ/高嶋政宏/丘みつ子/イッセ−尾形
★「タンスにゴン」「カエルコ−ル」「禁煙パイポ」など、バカ受けCMのクリエイタ−として知られ、'85・'86年日本新語・流行語大賞を2年連続で受賞した市川準の映画デビュ−作。森下麦子(冨田)はどこにでもいるフツ−の女の子。田舎から上京し、芸者修行をしながら通学している。そんな彼女が文化祭で“八百屋お七”を舞うことになったが・・・。少々ひねくれた女の子がしだいに素直になっていく難しい役をみごとにこなした冨田靖子は、この映画でアイドルから女優へと大きくはばたいた。サザンオ−ルスタ−ズの原由子が主題歌「あじさいのうた」を歌っている。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎ドラマの筋とは一見関係がないとおもわれるカットをさりげなく挿入するセンスは、レオス・カラックスなどにも印象的に見られるのだが、市川準という演出者にもそれが生得的に備わっているようだ。隅田川のほとりで独り舞いの手をお復習いする麦子のカットの衝撃はまさに映画的なるモノの実現というしかない。このカットが有ることでこの作品は永続的な価値を持ち続けることだろう。呑気呆亭