4月22日(水)「ロング・グッドバイ」

ロング・グッドバイ」('73・米)監督:ロバ−ト・アルトマン 原作:レイモンド・チャンドラ− 脚本:リ-・ブラケット 撮影:ビルモス・ジグモント 音楽:ジョン・ウイリアムズ 出演:エリオット・グ−ルド/スタ−リング・ヘイドン/ニ-ナ・バン・パラント/マ-ク・ライデル/ヘンリ-・ギブソン
★ レイモンド・チャンドラー原作『長いお別れ』の異色映画化。そのエキスだけを巧みに70年代に移植した。探偵フィリップ・マーロウがメキシコへ逃した妻殺しの友人が自殺した。一方、別件で行方不明の作家を探し出したマーロウは、彼が死んだ友人夫妻の知り合いだという事を知る。やがて、友人が持ち逃げした金を返せとヤクザが現れる…。ニコチン中毒にして、ソフトもトレンチコートもない(猫まで飼ってる)グールドのマーロウ像が秀逸。“It's O.K. With Me”(TV放映時の“まあ、どうでもいいけど”は名訳)を連発、その台詞にシーンごとのニュアンスを持たせている。ラストは原作とは180度違うが表裏一体のものだ。マーロウ物としてはロバート・ミッチャムの「さらば愛しき女よ」と甲乙つけ難い出来栄え。アーノルド・シュワルツェネッガーがチンピラ役で出演。<allcinema>

◎演出のアルトマンとグ−ルドのコンビがチャンドラーに挑んだ意図は、恐らくこれまでのハ−ドボイルドなマーロウ像をひっくり返してやろうということだったのだろう。それはそれでよいのだが、グ−ルドがひっきりなしにタバコを口にするのが気になって、「勝手にしやがれ」でベルモンドがセバ−グの露わな肩を気にもせずに咥え煙草をふかすシ−ンなどを思い出したりして、そればっかりの映画になってしまったのだった。呑気呆亭