3月25日(水)「ペ−パ−・ム−ン」

「ペ−パ−・ム−ン」('73・米)製作・監督:ピ−タ−・ボグダノビッチ 原作:ジョ−・デビッド・ブラウン 脚本:アルビン・サ−ジェント 撮影:ラズロ・コバックス 出演:ライアン・オニ−ル/テ−タム・オニ−ル/マデリ−ン・カ−ン
★白黒スタンダ−ドの素朴な画面に、30年代、大不況のアメリ中南部で、聖書を売り歩くサギ師のモ−ゼと、親のない少女アディの珍道中と心の交流を綴った、文字どおりの珠玉の作。“紙の月”同様、本モノ以上に温かい、ニセの親子関係が胸を揺さぶる。サンセバスチャン映画祭で3つの賞を受賞している。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎本物の親子にニセの親子を演じさせるというキャスティングを思いついたことでこの映画の企画が始まったのではなかろうか。アディがモ−ゼを実の親ではないかと疑って何度も“アゴが似ている”と主張するのが、親子だから似ているに決まってるじゃないかと思わせて笑わせてくれる。ふくれっ面のアディがだんだん可愛くなって行き女の子らしくなって行くと共に、ニセの親子の間に通い合うモノ生まれてくる課程が、様々なサギの手口を面白く見せながら語られて飽きさせない。計数に弱いので未だに5ドル札を使ったサギの手口が理解できないでいるこのおっさんは、アディに格好のカモにされるに違いない。呑気呆亭