3月15日(日)「アメリカン・スナイパ−」

アメリカン・スナイパ−」(2015)監督:クリント・イーストウッド 原作:クリス・カイル 脚本:ジェイソン・ホ−ル 撮影:トム・スタ−ン 出演:ブラッドリ−・ク−パ−/シエナ・ミラ−
★米海軍のエリート部隊“ネイビー・シールズ”の兵士としてイラク戦線で活躍した伝説の狙撃手クリス・カイルの回顧録ネイビー・シールズ 最強の狙撃手』を、巨匠クリント・イーストウッド監督で映画化した戦争アクション。2003年のイラク戦争開始以後、4度にわたって戦場に赴き、仲間の命を守るために実に160人以上の敵を射殺した英雄の知られざる葛藤と苦悩の軌跡を、家族を愛しながらも戦場から離れがたくなっていく主人公の強い使命感と、それゆえに抱え込んでいく深い心の傷に焦点を当て、緊迫感あふれる筆致で描き出していく。主演は「世界にひとつのプレイブック」「アメリカン・ハッスル」のブラッドリー・クーパー、共演にシエナ・ミラー
 2001年のアメリ同時多発テロをテレビで目の当たりにした青年クリス・カイルは、祖国の人々を守るために貢献したいとの思いを強くし、ネイビー・シールズで狙撃手としての過酷な訓練に励んでいく。やがてイラクに出征したクリスは、その驚異的な狙撃の精度で味方の窮地を幾度も救っていく。仲間たちから“レジェンド”と賞賛される活躍をし、無事に帰国したクリス。これでようやく、愛する妻タヤと生まれたばかりの長男と共に平穏な日常を送れるかに思われたが…。<allcinema>


◎イ−ストウッドは出演作は好きなのだが演出作品は今一頷けない部分がある。演出作品は一般に評価が高いようだが、この映画は彼の経歴にドロを塗ることになるのではないか。イラク戦争アメリカ軍がどれだけの女子供を殺したかを知っていれば、まるでテレビ・ゲ−ムを実写版にしたかのようなこのヒ−ロ−譚に吐き気を催さずにはいられないだろう。この映画ではっきり分かったのは、イ−ストウッドの暴力観にはペキンパ−の心深くに秘めていた生きるモノが等し並みにもつ悲哀が感じられないということだった。アラブの狙撃者に向けて飛んで行く銃弾の映像は白人の傲慢とアラブ世界への蔑視を隠しようもなく象徴していたのだった。不快な作品である。