3月13日(金)「必殺4・恨みはらします」

「必殺4・恨みはらします」('87・松竹=朝日放送)監督・脚本:深作欣二 脚本:野上龍雄/中原朗 撮影:石原興 音楽:平尾昌章 出演:藤田まこと/真田広之/千葉真一/倍賞美津子/村上弘明/三田村邦彦/かとうかずこ/ひかる一平/相楽ハル子/室田日出男/堤大二郎/岸田今日子/成田三樹夫/蟹江敬三
深作欣二が監督した「必殺!」映画シリーズ第四弾。千葉真一真田広之室田日出男といったキャスティングやJAC(ジャパン・アクション・クラブ)の活躍など、「必殺!」ファンよりも深作ファンに評価された。
南町奉行所に“美しい奉行”奥田右京亮が着任した。奉行所内での不手際により処分を受けた中村主水は、居酒屋で一人やけ酒を飲んでいた。騒ぎを聞きつけ外に出ると、旗本愚連隊が暴れ回っているところに遭遇。馬が暴走し、浪人が命を落とした。仕事人の集まりがあり、元締めから「旗本愚連隊の首領三人、六両」という仕事が提示される。あまりにも安い料金に他の仕事人たちは帰って行くが、主水とわらべや文七だけが仕事を引き受けると申し出た。<allcinema>

◎色悪の奥田右京亮に扮した真田広之が好い。周りに配した色小姓たちと繰り広げる妖しい振る舞いと伝法な台詞回しがゾットする効果を上げていて、さすがの主水もタジタジ。色っぽいだけではなく滅法強い奥田右京亮がぶん回す長巻に斬り立てられてあわやという場面で、かとうかずこの短筒に助けられて主水がほっとして腰を落とした瞬間、死んだと思った奥田右京亮がフラリと立ち上ったのには主水よりもこっちがドキッとしたことだった。千葉真一蟹江敬三の廃屋を縦横に駆け巡ってした殺陣も見応えがあった。そして何よりも言って置かねばならぬのは、主水が惚れる居酒屋のおふくを演じた倍賞美津子の存在感である。いつもながら独特のエロキュ−ションで主水と交わす睦まじい会話は殺伐としたこの物語に哀れにも印象深い彩りを添えたのだった。呑気呆亭