2月13日「砂漠の流れ者=ケ−ブル・ホ−グのバラ−ド」

砂漠の流れ者=ケ−ブル・ホ−グのバラ−ド」('70・米)製作・監督:サム・ペキンパ− 脚本:ジョン・クロフォ−ド/エドモンド・ペニ− 撮影:ルシアン・バラ−ド 編集:ル−・ロンバルド/フランク・サンティロ 音楽:ジェリ−・ゴ−ルドスミス 出演:ジェイソン・ロバ−ツ/ステラ・スティ−ブンス/デビッド・ワ−ナ−/ストロ−ザ−・マ−チン/L・Q・ジョ−ンズ/スリム・ピケンズ/R・G・ア−ムストロング
★灼熱の砂漠の真ん中で仲間に裏切られ、銃もロバも水も奪われたケ−ブル・ホ−グは、しかし不屈の生命力で砂漠を歩き続け、4日目に奇跡的に水を掘り当てる。駅馬車の通り道が近いと知った彼はそこに給水所を作り、大もうけができると考えた。たまたま通りかかったうさん臭い牧師のジョシュアとともに土地の所有権を手に入れたケ−ブル・ホ−グは、町のグラマ−な娼婦のヒルディとも意気投合し、万事はうまく運んだ、が、そこに昔、彼を裏切った二人の仲間が戻って来る・・・。
西部をこよなく愛したペキンパ−監督が、終わりゆく開拓時代への挽歌をほろ苦いタッチで描いた名作。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎'69年に公開された「ワイルド・バンチ」を翌年の6月頃に東京・飯田橋のギンレイ・ホ−ルという二番館で観て衝撃を受け、満を持してといった感じでこの作品を観るためにカミサンと二人で封切館に向かったことを覚えている。前作を見てのことであるから当然この題名からしてアクション映画を予期していたのだが、いきなりタイトルバックからして見事にその期待を裏切られた。何もかも奪われて砂漠に遺棄されたケ−ブル・ホ−グは半死半生で荒野を彷徨い歩く。流れるバラ−ドとホ−グの運命を罵る呟きを交互に織り交ぜながら、心地良いリズムのカットバックでタイトルバックが構成される。このタイトルバックの見事さは「ワイルド・バンチ」の導入部の処理とも共通していて、撮影のルシアン・バラ−ドの映像と編集のル−・ロンバルドとこの作品で編集に加わったフランク・サンティロの手柄であると思う。とくにこの映画ではホ−グとヒルディの出会いにもカットバックが多用されていて、恐らくペキンパ−もロンバルドやサンティロとともに大いにこの遊びを楽しんだことだろうと思われる。この導入部ですっかりしてやられて、髭面のホ−グと娼婦ヒルディと牧師ジョシュアとが荒野に織り成す寓話を、時に笑い時に涙しながらラストまで気持ち良く楽しんだのだった。呑気呆亭