2月7日(土)「ハズバンズ」

「ハズバンズ」('70・米)製作:アル・ル−バン/サム・ショウ 監督・脚本:ジョン・カサベテス 撮影:ヴィクタ−・J・ケンバ− 出演:ベン・ギャザラ/ピ−タ−・フォ−ク/ジョン・カサベテス/ジェニ−・リ−・ライト/ノエル・カオ
★広告マンのハリー(ベン・ギャザラ)、新聞記者のアーチー(ピーター・フォーク)、歯科医のガス(ジョン・カサヴェテス)は、ニューヨーク郊外で生まれ育った親友同士。突然、彼らの仲間のスチュワート(デイヴィッド・ローランズ)が死に、その葬儀に赴いた3人。だが、やりきれなさを覚えた彼らは夜通し飲んでバカ騒ぎを繰り広げる。ひとりだけ飲んでも吐けないハリーは疎外感に悩むかのようにふたりに気持ちを打ち明ける。妻とうまくいっていない彼は、ふたりを伴って帰宅するが結局喧嘩し、暴力をふるったところを彼らに制止された。彼は「家には戻らない」とふたりにパスポートを見せ、結局何かに背中を押されるように3人はロンドンへ旅立つ。大雨のなかロンドンに着いた彼らは、3日続きの徹夜にも懲りず、タキシードでカジノへ向かい、ギャンブルにも飽きて女をひっかける。相手の女に心ひかれながらも、ガスとアーチーは帰ることを決めたが、部屋に3人の女を引き入れていたハリーだけは残していくことに。ふたりは子供たちへの土産を抱え、家路につくのだった。

◎友人の葬儀を終えた三人は何とも収まらぬ心を抱えてニュ−ヨ−クの街をうろつき廻る。この腐れ縁で結ばれたように離れがたくバカ騒ぎにのめり込んでゆく感覚は、酒飲みであるなら誰しもが味わったことのある奇妙に快い堕ちて行く感覚である。同じ感覚を共有する男たち女たちが集まっての酒宴の場での歌合戦のシ−ンが巧まぬ笑いを誘って秀逸。こうした即興性がカサベテスの真骨頂であろう。呑気呆亭