1月30日(金)「ソルジャ−・ブル−」

「ソルジャ−・ブル−」('70・米)監督:ラルフ・ネルソン 原作:セオドア・V・オルセン 脚本:ジョン・ゲイ 撮影:ロバ−ト・ハウザ− 出演:キャンディス・バ−ゲン/ピ−タ−・ストラウス/ドナルド・プレザンス/ジョン・アンダ−ソン/ジョ−ジ・リヴェロ
★西部開拓史の汚点とも言うべき“サンドクリークの大虐殺”を真っ向から描いた問題作。1864年、シャイアン族との生活でインディアンの暮らしにも慣れた女性(C・バーゲン)が、婚約者の待つ砦へ騎兵隊と共に出発。だが、途中でインディアンに襲われ、生き残ったのは彼女と若い兵士(P・ストラウス)だけだった。父親を殺された事からインディアンを憎んでいる兵士だったが、道中、二人の間にはほのかな愛情が芽生え始めていた。そして、ようやく砦にたどり着いた二人は、協定を破りシャイアンの集落を襲撃しようとする騎兵隊の計画を知る…。インディアンに肯定的な人間と否定的な人間にディスカッションを行わせながら物語は進み、最後には、実際にあった大虐殺を余すところなく再現、白人がインディアンに対して行った事を観客に突きつける。スプラッター映画そこのけの凄絶なクライマックスと、それに続くバフィ・セイント・マリーの主題歌が痛烈な印象を残す。
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アメリカ人の魂の拠り所とされる“フロンティア・スピリット”というものが、何のことはない先住民であるインディアン(この呼称も差別的だが)を駆逐して北米大陸を乗っ取った悪辣な行為を無理やり美化したものであって、その消しがたい記憶はトラウマとなってアメリカ合衆国の白人たちの胸底を蝕んでいるに違いない。45年前に作られたこの作品は、今、対テロ戦争の泥沼に抜き差しならず巻き込まれているアメリカという国の行く末を黙示録的に暗示している。呑気呆亭