1月28日(水)「暗殺のオペラ」

「暗殺のオペラ」('69・伊)監督・脚本:ベルナルド・ベルトリッチ 原作:ホルヘ・ルイス・ボルヘス 脚本:マリル・パロ−ン/エドゥアルド・デ・グレゴ−ル 撮影:ビットリオ・ストラ−ロ/フランコ・ディ・ジャコモ 音楽:ベルディ・シェ−ンベルク/ミ−ナ 出演:ジュリオ・ブロ−ジ/アリダ・ヴァリ/ティノ・スコッティ/ピッポ・カンパ−ニ
幻想小説の奇才ボルヘスの迷宮の世界(原作は『裏切り者と英雄のテーマ』)を、69年という製作時の“政治の季節”に合わせ、ベルトルッチがイタリア戦後史の知的総括として映画化した作品。全篇にだまし絵的視覚遊戯を散りばめ、一人の青年が反ファシズムと言われた父の死の謎を解明しに、閉鎖的な田舎村を訪れる旅を、ベルトリッチ一流のオペラ的要素を根底にすえて鮮やかに描き出す。父は英雄でありながら密告者でもあり、この事実が不条理な展開の中にもくっきりとかいま見えてくるとき、その死の真相も明らかになるのだった。このあたりのスリル感が、見かけの難解さを払拭して余りあり、純粋な映画的快楽の提供者として、ベルトリッチを際だたせる。<allcinema>

◎イタリアにはフランスと違ってレジスタンスでファシズムと闘ったという歴然とした史実が残されていない(?)ためなのか、国土がファシズムに覆われた時代に対して何処か二律背反的なスタンスが、この作品にも窺われるように思う。そのためか持って回った筋立てと映像が錯綜して難解な映画になっている。イタリア人ではないワタクシには感情移入の出来ない作品であった。呑気呆亭