1月27日(火)「いちご白書」

「いちご白書」('70・米)監督:スチュワ−ト・ハグマン 原作:ジェ−ムズ・ク−ネン 脚本:イスラエルホロヴィッツ 撮影:ラルフ・ウ−ルジ− 音楽:イアン・フリ−ベア−ン=スミス 主題歌:バフイ・セント=マリ− 出演:ブル−ス・ディヴィソン/キム・ダ−ビ−/ボブ・ハラバン/ジェ−ムズ・ク−ネン
★1968年4月、遊園地を軍事関連施設に建て直す事に端を発したコロンビア大学の学園闘争。その渦中にいたジェームズ・クーネンの体験記を基に青春映画として作られた作品で、好奇心と下心から学生運動に身を投じたボート部の学生と、活動家の女子大生の恋愛を描く。当局の一斉検挙が実行されるクライマックスの迫力は、物語の幕切れとして申し分がない。B・デイヴィソンとK・ダービーの主演ふたりを始め、傍の学生たちも生き生きと演じられている。バフィ・セント・メリーの歌う主題歌“サークル・ゲーム”の切なさが象徴的。<allcinema> 

◎冒頭の水面を切り裂いて進むボ−トを俯瞰で捉えた映像が新鮮なインパクトを与える。そのボ−トを漕ぐ部員の精力を持て余した二人が女の子目当てで学園闘争に加わる。その課程がコミカルに描かれていて好感が持てる。主人公と彼が心を惹かれた女の子が、食糧の調達を任されて学園を抜け出し町の商店に協力を依頼に行くシ−ンで、商店主が大量の物資を供出するにあたっての闘争への同情と当局への気遣いを、これもコミカルに表現して秀逸であった。闘争は結局警官隊の突入によって蹴散らかされるのだが、学生たちが人文字で描くピースマ−クを俯瞰で映す映像や、体育館で“ギブ・ピ−ス・ア・チャンス”の歌に合わせて床を叩く場面の迫力は、この闘争が無意味なものではなかったことを表現していたように思われたのだった。呑気呆亭