1月22日(木)「戒厳令」

戒厳令」('73・仏=伊)製作:ジャック・ペラン 監督・脚本:コンスタンタン・コスタ=ガブラス 脚本:フランコ・ソリナス 撮影:ピエ−ル・ウイリアム・グレン 音楽:ミキス・テオドラキス 出演:イヴ・モンタン/O・E・ハッセ/ジャック・ペラン/レナ−ト・サルバト−リ/ジャック・ベベ−ル
★政情不安な南米某国でひとりのアメリカ人が革命派によって誘拐される。政府は戒厳令を発動し、街は恐怖と混乱の地と化す。事件を追うジャーナリストはその人物が米政府から極秘の任務を受けていた事を突き止めるが……。1970年、南米ウルグアイで起きた実際の事件を基に、F・ソリナスとコスタ=ガヴラスがシナリオを手掛け、他国へ及ぶアメリカの“影”と、冷徹な政治のメカニズムを描き出した力作。微動だにできない緊迫感に溢れている。<allcinema> 

◎「Z」で製作に携わるとともに劇中で重要な役割を果たす新聞記者を演じたジャック・ペランがこの作でも製作に関わっている。アメリカという国が自国の権益を守るためにはどんなことでもしてきたことは、建国以来のインディアン撲滅戦を見れば明らかで、それがいわば国家の暗いトラウマとなって、内部的にも暗殺を繰り返す国となったことは、その国家の巨大さと影響力の強さを考えれば、地球を蝕み滅ぼしかねぬペスト菌の保菌国であると言っても良いのではあるまいか。そのペスト菌保菌者を誘拐した反体制側と体制側との虚々実々の闘争を勇気を持って、サスペンス味ゆたかに描いたコスタ=ガブラスとジャック・ペランの傑作である。呑気呆亭