1月7日(水)「暗殺の森」

暗殺の森」('70・伊)監督・脚本:ベルナルド・ベルトルッチ 原作:アルベルト・モラビア 撮影:ビットリオ・ストラ−ロ 音楽:ジョルジュ・ドルリュ− 出演:ジャン・ルイ・トランティニヤン/ステファニア・サドレッリ/ドミニク・サンダ/ピエ−ル・クレマンティ
ファシズムに席巻された欧州の退廃を描く映画として、ヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」と並んで傑出した作品。以後70年代を通じ、同種の主題を扱った映画が濫作されたが、いずれもこの両作の域には遠く及ばなかった。
若い哲学講師のマルチェロ(トランティニャン)は少年の頃、彼を犯そうとした男を射殺した罪悪感に今もさいなまれていた。その苦しみから解放されるためファシズムを選択した彼に、パリ亡命中の恩師である教授を調査するよう密命が下る。ハネムーンを口実にパリに赴いたマルチェロと妻ジュリア(サンドレッリ)は、快く教授に迎え入れられた。だが、恩師の若妻アンナ(サンダ)には目的を悟られてしまい、敵意を抱かれると同時に深い仲にもなってしまう。やがて、別荘に向かう教授夫妻は、マルチェロの目前で暗殺されるのだが……。“体制順応主義者(原題)”のいびつな生き方を、ベルトルッチはなめらかな官能で包み込み、深い余韻を与える。雪の森での暗殺シーンなど映画史に残る美しさだ。<allcinema>

マルチェロ(トランティニャン)に絡む二人の女がやけに色っぽくて、そんないい女たちに囲まれているのに、妙に鉄面皮な表情を崩さないマルチェロが不自然で、スタイリッシュな映像ではあったが感情移入することが出来なかった。呑気呆亭