2015年1月6日(火)「王女メディア」

「王女メディア」('70・伊)監督・脚本:ピエロ・パオロ・バゾリ−ニ 原作:エウリピデス 撮影:エンニオ・グァル二エリ 出演:マリア・カラス/ジュゼッペ・ジェンティ−レ/マルガレ−ト・クレメンティ/マッシモ・ジロッティ
ギリシアの悲劇作家エウリピデスの『メディア』をパゾリーニ監督が音楽も担当し、その巧みなる手腕により幻想的に描いた作品。幼き日に奪われた王座の返却の条件として上げられた金毛羊皮を得るため、異郷の地コルキス王国を訪れたイアソンは、そこで怪しげな生け贄の儀式を行う巫女メディアと出会う。一方、一目で彼への燃えるような愛に落ちた彼女は祖国の繁栄を支える金毛羊皮を盗み出し彼に捧げる……。導入部を除く前半のほとんどにセリフらしいセリフを作らず、また後半にはフラッシュバック的な編集を使用。そのため話の内容が分かり辛い物となってはいるが、残酷な魔術的儀式を卓越した映像と古典日本的な音楽で表現するなどその天才的とも思える映像感覚には圧倒される。また今世紀最大オペラ歌手M・カラスの迫真の演技にも目を見張る物があり、ある種芸術的とも感じられる仕上りをみせている。<allcinema>

◎録画して置いたモノは吹き替え版であったので、この作品に関しては何も言うことは出来ない。エウリピデスの舞台劇を壮大な映画作品に仕立てようとした監督の意図は分かるのだが、やや無理押しの感があった。呑気呆亭