12月11日(木)「ひとりぼっちの青春」

ひとりぼっちの青春」('69・米)監督:シドニ−・ポラック 原作:ホレス・マッコイ 脚本:ジェ−ムズ・ポ−/ロバ−ト・E・トンプソン 音楽:ジョン・グリ−ン 出演:ジェ−ン・フォンダ/マイケル・サラザン/スザンナ・ヨ−ク/ギグ・ヤング/レッド・バトンズ/ブル−ス・ダ−ン
★1932年、不況真っ只中のアメリカ。ハリウッドに程近い海岸のダンスホールで賞金のかかったダンス・マラソン大会が開催される。定期的な小休止を取るだけの苛酷なその催し物は金目あての大衆に受けて当時大人気のものだった。必死に踊り続けるのは、老水兵や身重の女、スター志願の女優など様々で、なりゆきでパートナーを組むことになったロバートとグロリアの姿もあった。マラソンは次第に悲惨な様相を呈してくるが、主催者や観客は狂ったように出場者を煽る一方だ。やがて脱落者が続々と出る中、ロバートとグロリアに、ここで結婚式を挙げれば報酬を出すという話が持ち上がるが、同時に、優勝したところで賞金1000ドルは諸経費を引かれてたいした金額にならない事が知らされる……。ホレイス・マッコイの原作をS・ポラックが映画化した異色作で、その時代と人々の中に蔓延する狂気性が見事に描出されている。原題の“彼らは廃馬を撃ったか?”の意味する所が明確になるラスト・シーンの衝撃は胸を抉るような重苦しさだ。商魂まるだしのえげつない主催者に扮したG・ヤングはアカデミー助演男優賞に輝いた。<allcinema>

ギグ・ヤングという役者には凡庸な皮膚の下に秘めた狂気が感じられる。それを初めて感じたのはペキンパ−の「ガルシアの首」の殺し屋を演じたのを見たときだったのだが、このダンス・マラソン大会を司会するギグ・ヤングは、まさにアメリカがその善意に満ちたアンクル・サムの風貌の下に秘めている狂気の象徴となっている。この狂気は何処から来るのだろうか?呑気呆亭