10月18日(土)「姿三四郎」

姿三四郎」('75・東宝)監督:岡本喜八 脚本:輶巴 撮影:木村大作/音楽:佐藤勝 出演:三浦友和/仲代達矢/中村敦夫/若山富三郎/秋吉久美子/田中邦衛
★'43年黒澤明、'55年田中重雄、'56年内川清一郎、'70年渡辺邦男に続き、岡本喜八が輶巴とともに脚本を書き、5度目の映画化。今回は姿三四郎が矢野正五郎に弟子入りしてから、檜垣源之介を倒す正編と、源之介の弟・鉄心と源三郎を倒すまでの続編が、オ−ルスタ−・キャストで一挙に描かれる。(ぴあ・CINEMA CLUB)

三浦友和姿三四郎は藤田進に比べると線がやや細いが若々しい躍動感があってこれも良しかなと思わせる。三四郎が故郷に居られなくなって上京し矢野正五郎に出会うまでの岡本喜八の演出は快調で、立志伝の趣があって楽しめた。そして乙美(秋吉久美子)との雨中の出会い。秋吉久美子は若々しくたおやかな大和撫子といった風情で、三四郎と乙美の交情は清潔感があって好ましく、ラスト、乙美が必死に三四郎が決闘をしている谷川岳の一の倉沢目がけて沢をよじ登って行くシ−ンには、その健気さに思わず笑ってしまったのだった。三四郎の先輩役の田中邦衛もいい役柄であった。呑気呆亭