10月17日(金)「赤穂城断絶」

赤穂城断絶」('77・東映京都)監督・脚本:深作欣二 出演:萬屋錦之介/千葉真一/松方弘樹/渡瀬恒彦/藤岡琢也/近藤正臣
★元禄十四年三月十四日早駕篭が“浅野内匠頭長矩は、吉良上野介に対し、場所がらもわきまえず、刃傷に及び不届につき、即刻切腹なり”の報を持って赤穂に向かった。三月十九日、赤穂に入ったお家断絶、ご領地お召し上げの報に、即刻城中で大評定が行なわれ、篭城、殉死、仇討、解散と話は続いた。そして大石内蔵助は、お家最後の評定に集まった家臣の者から覚悟の上の誓紙血判を集め、時節到来まで隠忍自重することを約し、ひとまず開城のむねを発表する。

◎お馴染みの「忠臣蔵」ものだが、さすがに深作欣二萬屋錦之介大芝居に辟易(多分)しながらもチャンと見せ場を作った。討ち入った浅野方の不破数右衛門千葉真一)と吉良方の小林平八郎(渡瀬恒彦)の激闘である。せっかく打ち込んだ他の義士たちのことなどそっちのけで、延々とこの二人の闘いをキャメラは邸内から庭、庭から邸内と場所を次々に移しながら撮り続ける。さすがの千葉ちゃんも渡瀬の豪剣にはタジタジで、やっとの思いで平八郎を仕留めた時にはへたり込んでしまうのだが、それがいかにもリアルで、見応えのあるチャンバラであった。千葉真一のチャンバラはこの後急速に進歩を見せ、'87年の「必殺4・恨みはらします」での蟹江敬三との激闘を経て、'89年の「将軍家光の乱心 激突」での緒形拳との激闘に至ってチャンバラの一つのピ−クを形成するのだが、それはまた別の話。呑気呆亭