9月11日(金)「ダンディ−少佐」

「ダンディ−少佐」('64・米)監督・脚本:サム・ペキンパ− 原案・脚本:ハリ−・ジュリアン・フィンク 脚本:オスカ−・ソウル 撮影:サム・リ−ビット 音楽:ダニエル・アンフィサ−トロフ 出演:チャ−ルトン・ヘストン/リチャ−ド・ハリス/ジェ−ムズ・コバ−ン/ジム・ハットン/センタ・バ−ガ−
南北戦争の最中に、北軍を襲ったインディアンを追ってメキシコまで遠征する北軍少佐(チャールトン・ヘストン)率いる騎兵隊を描いた物語。リチャード・ハリス扮する南軍捕虜が、部下達と伴に志願し、北軍に加わり、そこを軸に展開する。ディキシーとリパブリック賛歌の合唱合戦の場面も出てくる。しかし、メキシコの村にセンタ・バーガー扮するドイツ人女性医師が登場したり、フランス軍との戦闘があったり、忠臣蔵の大石蔵之助よろしく少佐が放蕩に明け暮れたりと、脱線に脱線を重ねる展開は、冗長な感を否めない。バーガーは、コロンビアが欧州市場を睨んで起用したそうだが、疲弊したメキシコの寒村に突如肌の艶の良い美女が現れるのは、大きな違和感がある。ジョン・フォードの騎兵隊ものを強く意識して作り上げた作品だ。第二班監督は、ジョン・フォードに縁あるクリフ・ライオンズで、フォードの多くの騎兵隊ものに兵士役やスタントマンとして参加している。本作もいわゆるペキンパ組俳優が、大挙出演。R・G・アームストロングは、ここでも短気な牧師役。南軍捕虜組は、昼下がりの決斗の5人兄弟のうちの3人がそのまま出演。そのうちL・Q・ジョーンズとウォーレン・オーツは、ここでも兄弟だ。最後には、殆どの主要登場人物は、死んでしまう。<allcinema>TNO

◎妙に色っぽいセンタ・バ−ガ−が登場するまでは、ペキンパ−物らしい面白さがあるのだが、この女にダンディ−が事もあろうに惚れてしまって、南軍の兵士(ウォーレン・オーツ)を脱走の廉で処刑させたことから南北兵士たちの信頼を失い、そのことの悩みを女に溺れることで紛らわせようとするという、妙な心理描写を挿入するのは、まったくペキンパ−らしからぬ俗悪な趣味であると言わざるを得ない。せっかくR・G・アームストロング以下のペキンパ−一家を揃え、そこにリチャ−ド・ハリスという格好いい俳優を配した布陣がすべてこのことによって台無しになってしまった。惜しい。呑気呆亭