9月6日(土)「予期せぬ出来事」

「予期せぬ出来事」('63・米)監督:アンソニ−・アスクィス 脚本:テレンス・ラティガン 撮影:ジャック・ヒルドヤ−ド 音楽:ミクロス・ロ−ザ 出演:リチャ−ド・バ−トン/エリザベス・テイラー/マ−ガレット・ルザフォ−ド/ルイ・ジュ−ルダン/ロッド・テイラ−/マギ−・スミス/オ−ソン・ウエルズ/エルザ・マルティネリ
★ロンドン、ヒースロー空港のVIPルームを舞台にした、いわゆる“グランド・ホテル”形式の群像劇。ギャンブラーの恋人(L・ジュールダン)と駆け落ちをしようという富豪夫人(E・テイラー)と夫(R・バートン)の愛憎のもつれを核に、濃霧で飛行機が発たないために、会社の吸収合併を免れなくなった青年実業家(R・テイラー)と彼を秘かに想う秘書の奮闘が副旋律的に扱われ、脱税を画策しながら、やはり、出発が遅れてしくじりかける大物映画プロデューサー(O・ウェルズ)と女優(E・マルティネリ)の打算的な関係、加えて、城の維持費のために、フロリダのホテルに社交コンサルタントとして赴任しようという老公爵未亡人(M・ラザフォード)の旅慣れぬゆえの失敗の数々が、そこに喜劇的彩りを与える。<allcinema>

◎説明するのも厄介な様々な事情を抱えたVIPの人々が、飛行機の遅延という「予期せぬ出来事」によって、まるで天啓のような縁によって結び合わされてハッピ−エンドに至るという、こんな都合の良い脚本を良くも書いたものだと感心する。それにしてもリズは美しく気品があって、自らジゴロと自称する駆け落ちの相手の青年も、その美しさと気品に気圧されてまだ肉体関係を結んでいないなんて設定は、“ウソだろ!”としか言いようがない。結局リズは亭主のバ−トンの元に戻ってしまって、不幸になったのはこのVIPでない青年一人であったという、ブルジョワにとっては痛快な物語でありました。呑気呆亭