9月3日(水)「山猫」

「山猫」('63・伊)監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ 原作:ジョゼッペ・トマ−ジ・ディ・ランペドゥ−サ 脚本:ス−ゾ・チェッキ・ダミ−コ/パスクァ−レ・フェスタ・カンバニ−レ/エンリコ・メディオ−リ/マッシモ・フランチオ−ザ 撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ 美術:マリオ・ガルブリア 音楽:ニ−ノ・ロ−タ 出演:バ−ト・ランカスタ−/アラン・ドロン/クラウディア・カルディナ−レ/リナ・モレリ/パオロ・ストッパ/セルジュ・レジアニ
★巨匠L・ヴィスコンティ監督が実在の貴族ランペドゥーサの小説を基に、B・ランカスター、A・ドロンら豪華競演陣を配して貴族の斜陽を重厚に描いた壮大なドラマ。日本公開においてはまず64年に大幅に短縮された英語国際版が上映され、次いで81年にイタリア語のオリジナル版、そして2004年に完全復元版が公開された。
1860年春、統一戦争下のイタリア。腐敗した貴族支配からの解放を目指す統一運動の波は、ここシチリア島にも押し寄せる。そのシチリアを300年の長きに渡って統治してきたのは“山猫”の紋章を持つ名門貴族サリーナ公爵家だった。自らの終焉を感じながらも、これまで通り優雅に振る舞う公爵。一方、彼が目をかけていた甥のタンクレディは革命軍に参加し、機敏に立ち回る。ある日、片目を負傷し休暇の出たタンクレディは、避暑に向かうサリーナ公爵一家と合流、やがてそこで新興ブルジョワジーの娘アンジェリカと出会い恋に落ちるのだった。<allcinema>

◎残念ながらNHK・BSで録画した英語版で観てしまったので、正直ガッカリ。バ−ト・ランカスタ−を主役に据えることで「英語版」が作られたのだとすれば、ランカスタ−の起用はミスキャストであったと言わざるを得ない。イタリア・フランスの俳優たちに囲まれて英語をしゃべる彼はやはり異質であって、 ヴィスコンテイにして何故?と思ってしまう。その彼の周りを固める公爵夫人や控えめな娘や成り上がりのブルジョワや忠実な使用人やらがまさにはまり役なだけに、そしてシチリアの風土から生え出たかのような民衆の姿も合わせて、その景色の中でアメリカの有名俳優が浮き上がって見えてしまうのは仕方のないことであった。確かにラストの舞踏会の場面は圧倒的だが、それに何の意味が有ろうかと思ってしまうのも、このミスキャスト故ではなかったろうか。呑気呆亭