8月2日(土)「アラビアのロレンス」

アラビアのロレンス」('62・英)監督:デヴィッド・リ−ン 原作:T・E・ロレンス 脚本:ロバ−ト・ボルト 撮影:フレディ−・ヤング/ニコラス・ロ−グ 音楽:モ−リス・ジャ−ル 出演:ピ−タ−・オトゥ−ル/アレック・ギネス/オマ−・シャリフ/アンソニ−・クイン/ジャック・ホ−キンス/ア−サ−・ケネディ/クロ−ド・レインズ/ホセ・ファ−ラ−
★1916年、カイロに赴いている英国陸軍のロレンス少尉は、トルコへの反乱に意気込むアラブ民族の現状を確かめに向かった。そこで彼は反乱軍の非力を痛感し、アラブ種族をまとめ上げてゲリラ戦へ打って出ることに。やがて、トルコの一大拠点を巡って激闘を展開し、勝利する。そして、再びゲリラ戦の指揮官として新しい任務を与えられ、トルコ軍を打倒するロレンス。だが、一方でアラブ同士の争いが起こり、彼も尽力むなしく徐々に孤立していく…。
D・リーンの数ある名作の中でも紛れもない最高傑作で、アカデミー賞7部門を受賞。1914年、第一次大戦中のアラブ。砂漠の利権を狙い侵攻するトルコ軍とアラブ人たちとの激突、大英帝国の介入と、激動するアラブ社会に突如現れた英国人T・E・ロレンス。ドラマは、砂漠とその民を深く愛し、しかし英国人であるがために深い挫折に追い込まれていく青年リーダー、ロレンスの苦悩を中心に、砂漠の一大戦争スペクタクルを展開していく。ベドウィン族の戦闘部隊が一瞬の内に一村を壊滅させるシーン、疾走する列車を爆破するシーン他、その迫力は今なお圧倒的で、今日では絶対撮影不可能とまで言われている。D・リーンが長年こだわり続けている“人間と自然”“西欧文明と異文化の相克”のテーマがここでも徹底して描かれ、深い感動を呼ぶ。
<allcinema>

◎当時、この映画を見た男の子たちはみんなマッチの火を揉み潰して親指と人差し指に火ぶくれを作った。それも、だれが一番ゆっくりと揉み潰して大きな火ぶくれを作れるかを競ったものだった。ひさしぶりに見直してみて、さすがにこの年になるとロレンスのエキセントリックさが鼻に付き、オマ−・シャリフ演ずるアリ酋長の登場の格好良さと、その胆知に改めて痺れた。アラブと英国の思惑との板挟みとなって疎外されて行くロレンスは、我国の戊辰戦争初期に官軍に利用され見捨てられた赤報隊相楽総三に似て、相楽のように味方と信じていた官軍(祖国)に処刑されはしなかったが、デヴィッド・リ−ンが冒頭に持ってきたバイク事故による死は、まるで魂を喪った者の自死のように見えたのだった。呑気呆亭