8月1日(金)「ハッド」

「ハッド」('62・米)監督:マ−ティン・リット 原作:ラリ−・マクマ−トリ− 脚本:ア−ヴィング・ラヴェッチ/ハリエット・フランク・Jr 撮影:ジェ−ムズ・ウォン・ハウ 音楽:エルマ−・バ−ンスタイン 出演:ポ−ル・ニュ−マン/メルヴィン・ダグラス/パトリシア・ニ−ル/ブランドン・デ・ワイルド
★牧場を営む一家で理解者のいない若者の空虚な心を描いた西部ドラマ。監督は『ノーマ・レイ』のマーティン・リット。出演は『ハスラー2』のポール・ニューマンと本作でアカデミー賞助演男優賞を獲得した『チャンス』のメルヴィン・ダグラス。
テキサスで牧場を営むバノン一家の息子ハッド。30代で独身の彼は、夜になると町へ繰り出し酒と女に入り浸っていた。一方、一代で大牧場を築き上げた父ホーマーとは、イマイチ折りが合わないでいる。そんなある日、飼い牛に病気が発生、政府の殺戮令に親子は衝突してしまう。そして、これを機に牧場主の名義を自分にしようとするハッドに対し、彼がかつて実の兄を無謀運転で死なせたことを忘れられないホーマーは、それをはじめとしたこれまでのハッドに対する冷たい感情の原因をついに吐露し、親子の溝を深めていく…。<allcinema>

◎今、この2014年という時代に立って見てみると、この映画の「父と子の対立」というテ−マは、単なるアメリカ西部に生きた親子の対立という以上の意味を持ってくるようだ。“お前のような奴が増えたらこの国はダメになる”といった意味のことを父ホ−マ−は息子のハッドに語るのだが、父ホ−マ−の営々と苦労して牛を育て子を育てるという生き方こそ正しいという思想と、地面の下の油に象徴される流した汗の成果ではないモノに一攫千金の夢を託そうとする次世代の、思想ともいえぬ我欲とが鮮やかに対比される。確かにアメリカはこの時点で「新自由主義」という思想ともいえぬ主義に舵をきったのだ。呑気呆亭