7月4日(金)「リバティ・バランスを射った男」

「リバティ・バランスを射った男」('62・米)監督:ジョン・フォ−ド 原作:ドロシ−・M・ジョンスン 脚本:ジェ−ムズ・ワ−ナ−・ベラ/ウィリス・ゴ−ルドベック 撮影:ウィリアム・クロ−ジア 音楽:シリル・モックリッジ 出演:ジェ−ムズ・スチュワ−ト/ジョン・ウエイン/ベラ・マイルズ/リ−・マ−ビン/ウッディ・ストロ−ド
★若き法律家のやって来た街は、まだ無法時代の名残を残していた。彼は反対派の悪どい抵抗にあいながらも州独立のために闘うが、ついに雇われガンマンのリバティ・バランスと対決する事になる…。新時代に突入した西部を舞台に、白黒画面も美しく伝説の影に消えた男を詩情豊に描き上げた名編。
東部の大学で法律を学んだ青年ランスは、一肌脱ごうと西部のある小さな町にやって来た。だが、彼はそこで無法者のリバティ・バランス一味に襲われ、重傷を負ってしまう。幸運にも、牧場主で拳銃の名手であるトムや彼の恋人ハリーに救われるランス。彼は州昇格を目指す住民のため、反対派と雇われガンマンのバランスに対抗することを決意する。やがて州昇格運動の代表に選ばれたランスは、ついにバランスと一対一の対決に挑むことになるが…。<allcinema>

◎ランスとハリ−が元保安官のアップルヤ−ドの報せでトムの葬儀に参列すべくハリ−の故郷の町を訪れるプロロ−グが、“歳月”というものをしみじみと感じさせてくれる。教会ではなく葬儀屋の倉庫に設けられた葬儀場に踏み込んだランスもハリ−もアップルヤ−ドも、そしてトムの眠る粗末なひつぎに独り付き添っていたトムの使用人であり唯一の家族でもあったポンペイも、それぞれに過ごしてきた年月の有り様をそれぞれの老け方で示してひつぎを囲み、ブ−ツも剥ぎ取られガンベルトもせず老いさらばえて、今、町の公費によって葬られようとするトムのみじめであったろう晩年の生活さえも、直接死体を見せることなく感じさせるフォ−ドの演出は奇跡的でさえある。そして上院議員であるランスは町の新聞社の懇願をうけて、今となってはこの葬儀に立ち会った者だけが知るトムという男、そして自分だけが知るトムとリバティ・バランスと自分に関わる秘話を語り始めるのだった。呑気呆亭