6月11日(水)「夜の終りに」

夜の終りに」('61・ポ−ランド)監督:アンジェイ・ワイダ 脚本:イエジ−・アンジェイエフスキ−/イエジ−・スコリモフスキ− 撮影:クシシトフ・ビニェウイッチ 音楽:クリシトフ・コメダ 出演:タデウシュ・ウォムニッキ−/ズビグニエフ・チブルスキ−/クリスティナ・スティプウコフスカ/アンナ・チェシェレフスカ
★平和が訪れた戦後のポ−ランドで、目的を喪失し、空しい毎日を過ごす若者の青春群像にスポットを当てた巨匠ワイダの異色作。いつものテ−マを前面に押し出す力強い作風とは異なり、行きずりの男女の心の触れ合いとすれ違いを、ソフトで繊細なタッチで描いている。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎冒頭の主人公バジリがベッドで電気カミソリで髭を剃りながら、雑誌をめくったりインスタントコーヒーを作ったりするシ−ンが、戦後16年経ったポ−ランドのアメリカナイズされた生活を見事に物語っている。若者たちは“抵抗”を戦った生き残りたちからその英雄譚を聞かされて育った“遅れてきた世代”なのだろう。目的もなく、ジャズと“言葉あそび”に時間を費やすしかない若い男と女の魂の彷徨をワイダは見事に映像化している。呑気呆亭