5月30日(金)「バファロー大隊」

「バファロー大隊」('60・米)監督:ジョン・フォ−ド 脚本:ジェ−ムズ・ワ−ナ−・ベラ/ウィリス・ゴ−ルド・ベック 撮影:バ−ト・グレノン 音楽:ハワ−ド・ジャクソン 出演:ジェフリ−・ハンタ−/コンスタンス・タワ−ズ/ウッデイ・ストロ−ド/ビリ−・バ−ク/ウィリス・ボ−シェイ
★第9連隊の砦内で起きた将校令嬢の暴行殺人事件。現場から逃走した黒人曹長が容疑者として逮捕される。軍法会議を中心に回想形式で事件の真相に迫る造りで、アパッチの襲撃シーンも織り込みながら、アクション西部劇としてもミステリー法廷劇としても充分の面白さを保っている。かなりきわどい題材ながら名匠J・フォードが手際良くまとめて見せた異色編。<allcinema>

◎軍隊内での人種差別をテ−マとした作品だが、将校令嬢の暴行殺人事件を犯人と目される黒人曹長を裁く軍事裁判のシ−ンをメインに描くのだが、随所にフォ−ドらしいくすぐりを入れながらも脚本の練り方が足りなく、見終わって釈然としない思いが残った。同じ第9連隊を構成する黒人兵たちから「キャプテン・バッファロー」と呼ばれて尊敬されるほどの男が、暴行殺人現場に遭遇するという危機にあたって、発砲してきた将校に撃ち返して殺害してしまうという発端などは、無理矢理作った筋立てとしか思えない。それに加えて真犯人が“あの歩き方、あの腰つき”などという書くも汚らわしい告白をして法廷で暴かれるに至るラストにしても、いかにも唐突で、殺された令嬢にそんな劣情をそそる仕草も何もなかったことを思えば、無理矢理でっち上げた人種差別告発の浅はかなドラマというしかない。名匠フォ−ドの経歴に汚点を残す作品である。呑気呆亭