5月8日(木)「徳川家康」

徳川家康」('65・日活)監督・脚本:伊藤大輔 原作:山岡荘八 撮影:吉田貞次 音楽:伊福部昭 美術:川島泰三 出演:中村錦之助/有馬稲子/北大路欣也/田村高廣/西村晃/千田是也/桜町弘子
山岡荘八の同名人気長編小説を「この首一万石」の伊藤大輔が脚色・監督した時代劇。撮影は「集団奉行所破り」の吉田貞次、音楽は「三大怪獣 地球最大の決戦」の伊福部昭がそれぞれ担当した。徳川家康織田信長の人生を、織田と今川に挟まれた松平家からの視点で描く。
戦国時代の東海地方は、勢力を誇る東の今川家と西の織田家との中間に位置していた。岡崎城主の松平広忠刈谷の於大姫との間に竹千代(後の徳川家康)が生まれたが、松平家存続のため於大は織田方の城主のもとに嫁いでいく。今川義元織田家の進撃を止めるため竹千代を人質にとることを決意。七人の侍童に守られた竹千代だったが織田家にとらえられ、侍童たちは責任をとるため自害してしまう。この後、竹千代は岡崎城に戻るがすぐに織田家の人質となるなど、歴史に翻弄されながら徐々に富と地位を得ていくのだった。<allcinema>

◎家康と松平家臣団の結束力の強さは、下克上が当たり前であった当時としてはかなり異色なモノであったといわれるが、この映画を観てその辺りのことが実に丁寧に描かれているので納得することが出来た。主役以外の出演者の中では、弱腰になった武将たちをなじって立ち上がらせる性根の据わった本多小夜を演じた桜町弘子と、好ましい存在感の木下藤吉郎山本圭、そして家臣団の中では、鳥居忠吉を演じて重厚な存在感を見せた内田朝雄と、いかにも豪気な長坂血槍九郎を演じた山本麟一が印象に残ったのだった。呑気呆亭