5月7日(水)「殺しの烙印」

「殺しの烙印」('66・日活)監督:鈴木清順 脚本:具流八郎 撮影:永塚一栄 音楽:山本直純 美術:川原資三 出演:宍戸錠/小川万里子/真理アンヌ/玉川伊佐男/南原宏治/南廣
★“訳のわからない映画を撮るやつはいらない!”と当時の日活社長を激怒させ、鈴木清順が日活をクビになる直接の原因となったいわくつきの作品がこれだ。その特異なスタイルが'60年代の観客や批評家の多くに理解されず、興行的には惨敗。清順美学が理解されるにはまだ10年以上も早かったようだが、一部のファンの間では高い人気を誇る。たった一度の失敗で組織から抹殺されるハメになった殺し屋(宍戸)が、単身組織に立ち向かってゆく・・・。ご飯の炊けたにおいが大好きという殺し屋や、アドバル−ンを使った殺人などのユ−モアが散りばめられ、海外にも清順の名を知らしめた傑作。なお、脚本の具流八郎とは日活助監督たち6人と美術監督木村威夫、そして鈴木清順を含めた集団ペンネ−ム。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎笑えました。元殺し屋No.3の春日(南)が組織の殺し屋に花田(宍戸)と共に襲われて、銃弾にチョンチョン跳ねし、“アレッ!”てな感じでストップモ−ションの形に固まる場面では吹き出しました。やたら全裸になってくれる小川万里子のサ−ビスも有り難かったし、殺し屋No.1の南原宏治とNo.2の花田との駆け引きが、南原という怪優の働きで奇っ怪な面白さとなった。花田のご飯の炊けたにおいが好きだというギャグには感心しなかったが、お互いを警戒するために動くときは腕を組むという馬鹿ばかしいギャグには、宅配便の男に応対する場面で大いに笑わせてもらったのだった。“訳のわからない映画”でも好いじゃないか、というのが今回見直してみての感想であった。呑気呆亭