4月30日(水)「地下鉄のザジ」

地下鉄のザジ」('60・仏)監督・脚本:ルイ・マル 原作:レイモン・クノ− 脚本:ジャン・ポ−ル・ラブノ− 撮影:アンリ・レシ 音楽:フィオレンツォ・カルビ 出演:カトリ−ヌ・ドモンジョ/フィリップ・ノワレ/カルラ・マルリエ
★処女作「死刑台のエレベ−タ−」第2作「恋人たち」と1作ごとにテ−マを変え、斬新な映像を作り上げるマルの第3作。フランス・アカデミ−会員、クノ−の原作小説の映画化。田舎からパリに遊びにきた10歳の少女ザジ(ドモンジョ)の36時間にわたるパリ見物の物語。ザジがいちばん楽しみにしていたのは、街の地下鉄に乗ることだった。ところがあいにく地下鉄はストライキの最中。彼女は出迎えにきてくれたガブリエル叔父さん(ノワレ)と一緒にパリ見物をする。翌日、ザジはひとりで勝手に街へ出た。口ヒゲの怪しい男がザジを追いかけ回したり、エッフェル塔で垣間見る大人たちのアバンチュ−ルの数々・・・。ザジはパリ見物で実に多くのものを見て経験したように思った。マル監督はザジの36時間の出来事を、スラップスティック・コメデイの手法で活写し、子供の目が捉えたパリの街をあざやかに映像化する。モダン・ジャズの手法によるフィオレンツォ・カルビの口笛のテ−マ曲も印象的。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎確かに斬新なスラップスティック・コメデイであることは認めるが、さて、笑えないのはどうしてなのか?大人たちを引っかき回すザジに魅力がないのが第一で、演出にも独りよがりな所が眼についてしまう。もしかするとこの映画はキ−トンに倣って、スラップスティックに徹し音楽だけで台詞ナシのサイレントにすれば良かったのではないだろうか。呑気呆亭