4月10日(木)「帰らざる波止場」

「帰らざる波止場」('66・日活)監督:江崎実生 脚本:山田信夫/中西隆三 撮影:横山実 照明:藤林甲 美術:千葉和彦 音楽:伊部晴美 出演:石原裕次郎/浅丘ルリ子/志村喬/郷硏冶/金子信雄/深江章喜
石原裕次郎浅丘ルリ子のコンビによるム−ド・アクションの後期代表作。麻薬組織のために臭い飯を食わされた世界的ジャズ・ピアニスト・津田史郎は、復讐を誓い出所後組織と接触するため横浜へやって来るが、そこで財閥の未亡人・冴子と出会い、恋に落ちてしまう。横浜というバタ臭い土地を背景に、石原裕次郎浅丘ルリ子が息のあったところを見せる。特にラスト、傷を負った裕次郎とルリ子がタラップの上でひしと抱き合うシ−ンの甘美さはなかなかのもの。主人公をつけまわす刑事役で珍しく志村喬が出演。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎筋もなにもどうでも良くなるほどに、この映画の浅丘ルリ子の美しさは空前絶後であるといっていい。夫殺しの影を背負った冴子が、史郎に連れられて横浜の屋台の飯屋で、おそらく夫の死後初めて心を解放してドンブリに盛られた飯に箸をつけるシ−ンでの浅丘ルリ子の笑顔は、これが演技なのかと思わせるほどに奇跡的な輝きを放っていて、この「帰らざる波止場」という映画をワタクシにとって忘れがたいモノとしたのだった。呑気呆亭