3月7日(金)「決断の3時10分」

決断の3時10分」('57・米)監督:デルマ−・ディヴィス 原作:エルモア・レナ−ド 脚本:ハルステッド・ウエルズ 撮影:チャ−ルズ・ロ−トン 音楽:ジョ−ジ・ダニング 美術:フランク・ホティリング出演:グレン・フォ−ド/ヴァン・ヘフリン/フェリシア・ファ−/レオラ・ダナ/アレックス・ポッタ−/リチャ−ド・ジャッケル
★逮捕された強盗一味のボスを汽車で護送することになった男が、その発車時刻までの間に繰り広げる一味との熾烈な攻防と駆け引きを緊迫感のあるタッチで描いた西部劇。
アリゾナでは、ベン・ウェイド率いる強盗一味による駅馬車襲撃が横行していた。しがない牧場主のダンは、ある時その一部始終を目撃するが、自分のことで手一杯のため凶行を食い止めることが出来ないでいた。やがて、ベンが町の酒場にいる頃、保安官はダンから一連の報せを受け、ついにベンを逮捕する。しかし、ベンの手下に気付かれないよう刑務所のあるユマまで護送する必要があった。そこで、保安官の代わりにダンら2人の一般人がベンの護送を務めることに。だが、ユマ行きの汽車が発車する3時10分まではまだ2時間もある。その間、一味との駆け引きや妻との対面を経て、ダンの護送役への意気込みは揺らぎ始めてしまうのだが…。<allcinema>

◎先に2007年の「3時10分、決断のとき」を見て、前作があることを知りDVDを購入してこの作を見たのだが、この一筋縄ではいかない悪党ベン・ウエイドを演じたラッセル・クロウとこの作品のグレン・フォ−ドはそれぞれに魅力的で甲乙付けがたいが、他の配役によってまったく印象の違う作品になっている。まず牧場主のダンだが、ヴァン・ヘフリンがいかにもタフな西部人であるのに対して、クリスチャン・ベイルには生活人のタフさが欠けその上にビッコであるという負い目を背負わされているので、ウエイドに対抗するだけの男としての力が感じられない。ウエイドが捕らわれるきっかけとなった酒場の女だが、この作のフェリシア・ファ−とウエイドには「束の間の恋」を感じるがリメイク作には「情欲」しか感じられない。そして前作ではコンテンションに駆けつけるのが妻のアリス(レオ・ダナ)であるのに対して、リメイク作ではダンの息子であるために、この作で最も感動的な列車を見送る妻に待望の雨が降り注ぐシ−ンがなくなってしまったために、情感に欠けたラストになってしまったのだった。リメイクというのは難しいモノだ。呑気呆亭