3月6日(木)「怒りを込めて振り返れ」

「怒りを込めて振り返れ」('58・英)監督:トニ−・リチャ−ドソン 原作戯曲:ジョン・オズボ−ン 脚本:ナイジェル・ニ−ル 撮影:オズワルド・モリス 音楽:クリス・バ−バ− 出演:リチャ−ド・バ−トン/クレア・ブル−ム/メアリ−・ユ−ア/イ−ディス・エヴァンス/ゲイリ−・レイモンド/グレン・バイアム・ショウ
★ロンドン出身の劇作家ジョン・オズボーンの代表作『怒りを込めて振り返れ』(Look Back in Anger)の映画化作品。監督は、これが初長編作品となる「蜜の味」「長距離ランナーの孤独」のトニー・リチャードソン。戦後イギリスの経済不況の中、根強く残る階級社会の狭間で生きる新しい世代の若者たちを描く。
イングランド中部の町にある屋根裏のアパートに暮らす、ジミーとアリソン。ジミーは自尊心が強く、大学を卒業したものの仕事にあぶれ、友人クリフと共に菓子の露店商で生計を立てる日々。どうしようもない階級制度にいら立つジミーの憂さ晴らしは、中産階級出身の妻アリソンに向け不満・暴言をぶつけることだった。彼女が妊娠しているとも知らずに。そんな日々に疲れ果てるアリソンは、友人のヘレナから両親の所へ帰るよう勧められる。<allcinema>

◎英国の階級社会というものの息苦しさをリチャ−ド・バ−トンの過剰とも思える熱演とモノクロの暗い映像が見事に表現している。大学を卒業しながら市場の屋台で露天商をしなければ食って行けないという状況は、彼らのプライドをズタズタにする。その状況を打破するには怒りしかないのか?知恵の光を感じさせぬやりきれぬ映画である。呑気呆亭