1月29日(水)「剣」

「剣」('64・大映京都)監督:三隅研次 原作:三島由紀夫 脚本:舟橋和郎 撮影:牧浦地志 美術:内藤昭 出演:市川雷蔵/藤由紀子/川津祐介/長谷川明男/河野秋武
三島由紀夫の同名短編小説を、主演を務めた市川雷蔵の希望により映画化した作品。「花と怒涛」の舟橋和郎が脚本を書き「眠狂四郎 勝負」の三隅研次がメガホンをとった。「斬る」に続く「剣」三部作の第二作で、この後「剣鬼」が制作された。
東和大学剣道部主将の国分次郎は、勉強にも遊びにも目もくれず、ひたすら剣の世界に打ち込んでいた。同級生の賀川はあまりにも厳しい国分の考え方に反発するが、新入部員の壬生は国分のことを尊敬していた。賀川は大学で最も美人の伊丹恵理に、国分を誘惑するようそそのかし、後日彼女から国分が肉体を求めてきたと聞いた。強化合宿の終盤、国分と副将の村田が監督を迎えに行ったすきに、賀川は部員を誘って禁じられている海水浴に出かけた。それを知った国分は…。<allcinema>

◎聞くところによれば、主演の市川雷蔵がこの三島由紀夫の原作の映画化を熱望したのだという。雷蔵は嫌いな役者ではないが、この映画の主人公は余りにも硬直した三島好みのキャラクタ−で、感情移入することが出来なかった。三島の原作を読んではいないが、男たちのドラマに安易に女との関わりを挿入することで、三島も雷蔵も目指したのであろう生の純粋さが却って損なわれてしまったのだった。呑気呆亭