1月17日(金)「柳生武芸帳・片目の忍者」

柳生武芸帳・片目の忍者」('63・東映)監督:松村昌治 原作:五味康祐 脚本:高田宏治 撮影:藤井静 音楽:阿部皓哉 出演:近衛十四郎/松方弘樹/徳大寺伸/堀正夫/東千代之介/二本柳寛/藤純子
★徳川三代将軍家光の治世、いまだ豊臣藩の残党が都に出没していた。それに対するけん制を目的に買い入れた二千五百挺の銃が何者かによって奪いさられるという事件が勃発した。この事実が漏洩するのを恐れた伊豆守は、秘かに鉄砲探索の密命を柳生家に下した。十兵衛一人の力では危いと見抜いた但馬守は、柳生武芸帖忍の巻を手渡した。後宮太夫は旅の途中、新宮の小五郎と名のる者に斬られた。そしてなにゆえか。小五郎は十太夫になりすまして柳生別邸に現われた。これをずっとつけて来たのが、忍びらしき男甚五郎。十兵衛の太刀調べに小五郎は素性を見破られた。小五郎は豊臣方に味方して敗れた九鬼嘉隆将軍の家臣であり、嘉隆と弟の城代家老の岩倉刑部と計って御用船を奪った。また嘉隆を助け幕命にそむいた紀州大納言をも一味に加えていると告白した。(goo映画)

◎奪われた二千五百挺の銃が連発銃であったという設定が噴飯物で、その連発銃を持って砦に立て籠もった岩倉刑部(東)の陰謀を、柳生一門60名のみに任せて処理させようとする幕閣の無策ぶりも噴飯物であった。“柳生魂を見せろ”と門人を励まして玉砕させ、自らも泥と煙硝にまみれて、新宮の小五郎(松方)の働きで滅びた砦を後にする十兵衛の後ろ姿に、何の怒りも見られないのが不審であった。呑気呆亭