1月10日(金)「誇り高き男」

「誇り高き男」('56・米)監督:ロバ−ト・D・ウエッブ 原作:バ−ン・アサナス 脚本:エドマンド・ノ−ス/ジョセフ・パトラッカ 撮影:ルシアン・バラ−ド 音楽:ライオネル・ニュ−マン 出演:ロバ−ト・ライアン/バ−ジニア・メイヨ/ジェフリ−・ハンタ−/ロバ−ト・ミドルトン/ウオルタ−・ブレナン
★頭に負った傷のためにしばしば失明状態になる保安官と、彼を父の仇と信じ込んでいる若者が、やがて協力しあって悪を一掃するウエスタン。名優・R・ライアンの男の魅力がとくと堪能できる。公開当時、L・ニュ−マンの主題曲も大ヒットした。撮影は名手L・バラ−ド

◎この傑作異色西部劇の仕掛けは四つの撃鉄の音である。保安官キャス(ライアン)を丸腰の父親を撃ち殺した仇と思いこんでいる若者サッド(ハンタ−)は、殺し屋チコを後から撃ち殺したキャスを非難する。しかし倒れ伏したチコの手には拳銃が握られていた。キャスはチコが懐に隠した拳銃の撃鉄を起こす音を聞いて撃ったのだった。二度目は牢番のジェイク(ブレナン)がキャスの反応を試すために悪戯で起こした撃鉄の音。三度目は悪党一味との納屋での決闘の際に、一時的に視力を失ったキャスを背後から窓越しに狙った男の撃鉄を起こす音。キャスはその音に向けて銃弾を放つ。四度目は、サリ−(メイヨ)とともに町を出ることを決意したキャスに変わって保安官となったサッドが、ボスのバレットと酒場で対決するシ−ン。サッドはだまし撃ちにしようとするバレットの懐に秘めた拳銃の撃鉄を起こす音に冷静に反応し、ためらうことなく背後からバレットを撃ち殺す。サッドはついに、かつてキャスと父親の間に起こった事態を理解したのだった。呑気呆亭