1月8日(水)「抵抗」

「抵抗」('56・仏)監督・脚本:ロベ−ル・ブレッソン 原作:アンドレ・ドゥヴィニ 撮影:レオンス=アンリ・ピュレル 出演:フランソワ・ルテリエ/シャルル・クランシュ/モ−リス・ベアブロック/ロ−ラン・モノ−
★ドイツ占領下のリヨンで、レジスタンスのフランス将校が逮捕された。彼はドイツ軍の手によって、脱走不可能と謳われた監獄に入れられる。だが生き延びることを決意した彼は、身の回りの品を使って、脱獄計画を進めていた……。実話を基にしたサスペンス・アクション。
<allcinema>
★フランスのアンリ・ドヴィニ大佐の手記に基き、我が国初登場のロベール・ブレッソンが脚本を書き、自ら監督した異常な物語。ドイツのゲシュタポに捕えられ、死刑の宣告を受けたフランス軍人がモントリュック監獄から脱獄する経過を、記録映画的にレジスタンス精神をこめて描き出す。監督のブレッソンは一九〇七年生れ、一九五〇年に監督したベルナノス原作「田舎司祭の日記」は、五〇年度ルイ・デリュック賞、五一年フランス映画大賞、五一年ヴェニス映画祭・国際賞およびイタリア批評家賞などを受けている。撮影は「わが青春のマリアンヌ」のルイ・アンリ・ビュレル。主演のフランソワ・ルテリエは無名の二十七歳になる哲学科の学生で、その他シャルル・ルクランシュ、モーリス・ビーアブロック、ローラン・モノなど著名な新聞記者、劇評家、装飾家といった人々である。(goo映画)

◎前期高齢者のおっさん二人と視聴。殆ど収容所内の監房の描写に終始する地味なドラマであるので、お二人が開始早々から無言になってしまったので、眠ってしまったのかなとおもったのだがさにあらず。二人とも画面に釘付けになって見入っていたのだった。映画は護送車から脱走して捕らえられ拷問を受けたレジスタンスの青年フォンテ−ヌがそれでも抵抗精神を失わずに監房からの脱走を企てる様々な試みを克明に描く。ステンレスのスプ−ンを手に入れ、その把手を研磨してノミを作り、そのノミを使ってドアの羽目板を削って分離し外せるように細工を施す。監房から外に出ることは出来たが、脱獄のためには収容所の壁を越えるためのロ−プと鉤索を作らなくてはならない。フォンテ−ヌは朝の洗面時と汚物の投棄作業時に同じ収容所の仲間と連絡を取り、脱獄の打ち合わせをする。フォンテ−ヌより先に脱獄を試みて失敗して殺された仲間から鉤索の作り方を教わり、ベッドのスプリングの針金を外して布きれに織り込んで堅固なロ−プを作って着々と準備を整えて行く。その過程がリアルな説得力をもって見る者に伝わって来る。我々三人のおっさんは職種は違うがそれぞれに現場での労働体験を持つ。それだけにこのフォンテ−ヌの蟻の歩みにも似た不屈な労働(抵抗)に目を引きつけられてしまったのだろう。映画が終わって三人のおっさんの口から異口同音に出た言葉は「凄かったね・・・」でありました。呑気呆亭