2014年1月7日(火)「居酒屋」

「居酒屋」('56年・仏)監督:ルネ・クレマン 原作:エミ−ル・ゾラ 脚本:ジャン・オ−ランシュ/ピエ−ル・ポスト 撮影:ロベ−ル・ジェイヤ−ル 音楽:ジョルジュ・オ−リック 出演:マリア・シェル/フランソワ・ペリエ/アルマン・メストラル/ジュジ・ドレ−ル
★19世紀なかばのパリの裏町。夫に逃げられた洗濯女のジェルベ−ズ(シェル)は、実直な屋根職人のクポ−と結婚する。だが、屋根から落ちて大ケガをしたクポ−はやがて酒びたりになる・・・。薄幸なジェルベ−ズの一生を描いたエミ−ル・ゾラの名作の映画化。(ぴあ・CINEMA CLUB)

◎貧しく健気な洗濯女をマリア・シェルが好演している。パリの下町の雰囲気を監督のルネ・クレマンと撮影のロベ−ル・ジェイヤ−ルは克明に再現しているように思える。その健気な女が男運のなさの故に没落して行くドラマはリアルであるだけに救いがなくて余り後味の良いモノではなかった。唯一面白かったのが、冒頭の洗濯場の場面でのジェルベ−ズとヴィルジニイ(ドレ−ル)とのすさまじ格闘シ−ンであった。女の格闘シ−ンとしては「砂塵」のマレ−ネ・デイトリヒとウナ・マ−ケル、「幕末太陽傳」の南田洋子左幸子のそれに匹敵するハチャメチャさで、ワタクシとしてはこれらを世界映画史上の三大女性格闘シ−ンと認定したいと思っている。呑気呆亭