12月6日(金)「町中の拳銃に狙われる男」

「町中の拳銃に狙われる男=MAN WITH THE GUN」(55・米)監督・脚本:リチャ−ド・ウイルソン 脚本:N・B・スト−ンJr 撮影:リ−・ガ−ムス 音楽:アレックス・ノ−ス 出演:ロバ−ト・ミッチャム/ジャン・スタ−リング/アンジ−・ディキンソン/バ−バラ・ロ−レンス/カレン・シャ−プ
★ときは1870年夏のある日、処はワイオミング州シェリダンの町。何処からともなく現れた一人の男。彼の名はクリント・トリンジャー(ロバート・ミッチャム)。渡世は“町直し保安官”。だがクリントがこの町に来たのはホールマン(ジョー・バリー)の牛耳るこの町を“直し”に来たのではない。三年前に危険な拳銃稼業から足を洗わぬ彼を嫌って去った妻のネリー(ジャン・スターリング)がこの町にいるのを知り、ネリーが連れて行った当時2歳の娘ベスに一目会うためだった。彼女はホールマンが糸をひくレスコウの経営するパレス・サロンの踊り子斡旋業をやっていた。馬具商のアトキンスは町会の有力者で、娘のステラ(カレン・シャープ)はジェフ(ジョン・ラプトン)という青年と婚約していたが、ジェフが建設中の農場がホールマン一味の襲撃にあったため、町会は町から暴力団駆逐を決議、クリントを雇った。去り難いものを感じるクリントは町直しに乗り出しまず町中ででの銃器携行を禁止、違反するホールマンの部下を手練の早撃ちで血祭りにし、また12時にはサロンを閉める事を厳命した。ジェフはクリントの助けをかりるのを嫌い、独りでホールマン一味と争って負傷した。クリントはネリーに執ように子供の事を問いただし、彼女は遂に子供が死んだことを告白、彼が人情も涙もない男だと罵倒した。クリントはこの町を去る決意をし、一挙にホールマン一味との勝負に結末をつけるためパレス・サロンに行きレスコウに町から即時退去を命じたが反抗する彼を射殺しサロンに火を放った。その頃、町にドラマーというホールマンの廻し者がやってきた。この罠を知ったネリーはクリントに深い愛情を感じ知らせようとしたが間に合わなかった。だがその場に居合わせたジェフがこの討ち合いに加った。クリントはジェフをかばって負傷したが、ジェフはホールマンを討ちとった。町は平和が来た。クリントは拳銃稼業を捨て地道な商売でネリーと幸福に暮す決意をした。

◎10歳上の兄貴にこの映画の凄さを散々聞かされて、何とか見てみたいと思い続けて来たのだが、遂に原語のDVDを手に入れてしまったのだった。原語であるから日本語の字幕なし。一度目は通しで見て、二度目は英語の字幕が出るので一場面ごとにストップさせて台詞を読みながら視聴した。ロバ−ト・ミッチャム演ずるトリンジャ−は“町直し保安官=town-tamer”という耳慣れぬ仕事を稼業とする男。相変わらず眠そうな目をしたミッチャム=トリンジャ−は全身グレ−の服に身を包み、ガンベルトとベルトに差した銃を操って無造作に逆らう奴らを倒し、坦々と使った分の弾丸を補給する。そのプロフェッショナルに徹した彼がたった一度感情を露わにして逆上する。それは、彼を見捨てて逃げた妻のネリ−から娘のベスの死を聞いた時だった。そしてその時から彼は町の直し屋ではなく壊し屋になってしまう。邦題の意味するところはそれなのだが、別に町中の拳銃が彼を狙う状況にはならず、宿敵のボスとの闘いで彼にしては珍しく一瞬気を逸らしたために銃弾を受けるのだが、それは彼が非情な稼業から身を引く契機となったのだった。呑気呆亭