11月21日(木)「俺たちは天使じゃない」

俺たちは天使じゃない」('55・米)監督:マイケル・カ−チス 原作:アルベ−ル・ユッソン 撮影:ロイヤル・グリッグス 音楽:フレデリック・ホランダ− 出演:ハンフリ−・ボガ−ト/オルド−・レイ/ピ−タ−・ユスチノフ/レオ・G・キャロル/ジョ−ン・ベネット/グロリア・タルボット/ベイジル・ラスボ−ン
★ブロードウェイでも上演されたフランスの舞台劇を、あの「カサブランカ」の監督がメガホンを取った、ハチャメチャ3人組が織りなす愉快なコメディ作品。「パピヨン」で有名な“悪魔島”刑務所を脱獄した囚人3人組は近くの港町(囚人達が働くへんてこな町)に辿り着き、そこで着る物や金を調達しようととある雑貨屋に押し入った。しかし経営不振で閑古鳥が鳴くその店の主人や娘の恋の行方に同情し、事もあろうに居候を決め込んで主人たちを助けて行く。折しもその日はクリスマス・イブ。3人はそれぞれの犯罪の才能を駆使して豪華な食事を揃え、店の家族には“あなたたちは天使よ”と感謝されてしまう。しかし店のオーナー達が現れてひと悶着が起きそうになり、3人組は彼等を殺してしまおうするのだったが……。ボギーを始め、A・レイやP・ユスティノフが楽しそうに演じ、ストーリー自体も決して悪くないなのだが、余りにも間のぬけたヤル気が無いような演出がだらだらと続き、3人組の掛合いも噛み合わないままで完璧に不発。そして作品自体がゆっくりとしたペースで進むおかげで盛り上がりそうな所も盛り上がりを見せずに終わってしまう。これが「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」や「汚れた顔の天使」と同じ監督の作品とは思い難い。尚、後にデ・ニーロが製作総指揮まで努めた同名主演作は本作を大幅にアレンジしたリメイクである。<allcinema>

◎メルヘンとして見れば中々楽しい映画であった。ボガ−トとレイとユスチノフの悪党三人が、まったく罪の意識などというややこしい心理に惑わされることなく、軽々と悪事に従事する導入部が面白い。その悪党三人組がひょんなことから押し入り先の家族のために善を行ってしまうという設定が愉快で無理がなく楽しめた。ラストのオチも効いていて、好ましい作品に仕上がっている。呑気呆亭