10月26日(土)「麗しのサブリナ」

麗しのサブリナ」('54・米)監督・脚本:ビリ−・ワイルダ− 原作・脚本:サミュエル・テ−ラ− 脚本:ア−ネスト・レ−マン 撮影:チャ−ルズ・ラングJr 音楽:フレデリック・ホランダ− 出演:オ−ドリ−・ヘップバ−ン/ハンフリ−・ボガ−ト/ウイリアム・ホ−ルデン
★サブリナ・パンツという言葉を生んだスポーティなオードリーのスタイルが、前作「ローマの休日」とはまた違って魅力的な、B・ワイルダー監督作(衣装のエディス・ヘッドはオスカーを得た)。原作はS・テイラーの舞台劇。玉の輿路線は相変わらずだが、それが少女小説(マンガ)の永遠のテーマというもの。大富豪ララビー家のお抱え運転手の娘サブリナは、一家の次男デヴィッド(W・ホールデン)に失恋し、二年をパリの花嫁学校で送る。しかし、帰ってきた時には見違えるようなシックな令嬢となっており、デヴィッドをドギマギさせる。彼女に夢中な弟を心配した長男のライナス(H・ボガート)は仕事一筋のマジメ男だが、彼までサブリナの虜となって…というお話で、いささか歳は喰っているがボギーがやっぱり素敵。心優しい彼にサブリナならずとも結局、女性は夢中になるはずだ。パンツから艶やかなドレス姿に…。それはまさに現代のシンデレラ物語。有名なシャンソン“バラ色の人生”が主題歌。後に「サブリナ」としてリメイクされる。<allcinema>

◎ヘップバ−ンは必ずしも好みの女優さんではないが、この映画と同じくワイルダ−作品の「昼下がりの情事」のヘップバ−ンはまるで子鹿のように可愛らしくて素敵である。しかし両作ともに恋の相手役に中年のク−パ−とボギ−を配したワイルダ−の意図は奈辺に有ったのか。ワイルダ−が二度目のそして終身の妻となるオ−ドリ−・ヤングに出会ったのは「失われた週末」の撮影中であったという。この時ビリ−38歳、オ−ドリ−22歳、結婚は五年後の1949年、ネバダ州のミッデンという町で立会人は友人のイ−ムズ夫妻だけだった。オ−ドリ−は語る“頭にきたのは、せっかく素敵なドレスを、シンプルだけど素敵なドレスを買ってあったのに、それを着られなかったこと。古いブル−・ジ−ンズ、バンダナの鉢巻きだけ。着替えたいといったら、ビリ−・ワイルダ−がいったの、「だめだ」って。「いい加減にしてよ」といったら「そのままで結婚するか、さもなければ全然しないかだ」という。あきらめてそのままの古ジ−ンズで結婚したわ”ビリ−が通りすがりの小さな宝石店で買ったのはシンプルな金の指輪で、その17ドル50セントの指輪は彼女の指から決して外されることはなかたという。(ビリ−・ワイルダ− イン・ハリウッド モ−リス・ゾロトウ著)いずれにせよボギ−とヘップバ−ンがそれと意識せずに互いに惹かれあう課程が丁寧にそして面白く描かれていて見事な作品になっている。ラストのどんでん返しも帽子や傘の小道具の使い方も洒落ている。呑気呆亭