10月25日(金)「ヴェラクルス」

「ヴェラクルス」('54・米)監督:ロバ−ト・アルドリッチ 原作:ボ−デン・チェイス 脚本:ジェ−ムズ・R・ウエッブ/ロ−ランド・キビ− 撮影:ア−ネスト・ラズロ 音楽:ヒュ−ゴ−・フリ−ド 出演:ゲイリ−・ク−パ−/バ−ト・ランカスタ−/シ−ザ−・ロメロ
南北戦争直後のメキシコを舞台に、ひょんなことから出会った2人のガンマンが隠された黄金を発見し、その大金をめぐって対決する運命を迎えるまでを、G・クーパー×B・ランカスターの競演でアルドリッチが豪快に描いたウェスタン。
南北戦争後、動乱のメキシコにやってきた元将校のトレーンは、ならず者のエリンと出会う。やがて、彼らはマクシミリアン皇帝寄りの侯爵から雇用の機会を得るが、一方で革命軍の将軍に目をつけられるのだった。そんな中、伯爵令嬢のマリーが乗る馬車をヴェラクルスの港まで護衛する仕事を依頼され、これに侯爵も加わり出発するトレーンとエリン。すると道中、彼らは馬車の中に隠された大金を発見する。しかしその直後、将軍一味による襲撃に乗じて侯爵がその金を強奪し逃走してしまう。トレーンたちが将軍ら革命派に吸収される中、金に目が眩んでいたエリンはその奪還だけに執着していくのだが…。<allcinema>

◎この映画も兄貴に評判だけは聞いていて見ることが出来ないことに口惜しい想いをしてきた作品であった。最初に見て驚いたのはランカスタ−の拳銃捌きの凄さだった。老ク−パ−の抜き打ちに本能的に反応する早さと、反抗する手下を後ろ向きの姿勢のまま腰を捻って倒したシ−ンの面白さ。相手に銃把を向けて拳銃を渡そうとしてクルッと銃を回して銃口を相手に向けて見せるトリッキ−な銃の使い方。これらは我ら西部劇フアンには眼からウロコの技法であって、みんなこの映画を見て一生懸命練習して会得しようとしたのであった。こんな達人が最後に老ク−パ−の前に敗れ去ったのは、獣の心を持って生きてきた無法者が、ふと老ク−パ−に心を開いてしまってニンゲンらしさを持ってしまった弱さによる翳りの故であったのだろう。彼を弟のように思い始めていた老ク−パ−は、寂しげに倒れたランカスタ−の拳銃を投げ捨て力なく去って行くのだった。呑気呆亭