10月24日(木)「掠奪された七人の花嫁」

「掠奪された七人の花嫁」('54・米)監督:スタンリ−・ド−ネン 脚本:フランセス・グッドリッチ/他 撮影:ジョ−ジ・フォルシ− 出演:ハワ−ド・キ−ル/ジェ−ン・パウエル/ラス・タンブリン
★MGMミュージカルの名作の一つ。
主演を務めるのはバリトン・ボイスでハンサムなハワード・キールとソプラノの歌声とキュートなルックスが魅力のジェーン・パウエル。他にも曲芸師で体操選手でもあったラス・タンブリンや、どんなダンスも完璧にこなしたトミー・ロールなど、MGMを代表する面々が出演しています。
監督がスタンリー・ドーネンなだけにミュージカル・ナンバーの使い方がとても上手く、またコミカルで楽しい作品となっています。
物語自体は1926年に発表したスティーヴン・ヴィンセント・べネの短編小説『すすり泣く女たち』を原作としています。
最初の方のシーンで長男役のハワードが町を歩きながら自分の結婚相手を探す歌からして楽しくて、ワクワクしてきます。その後もジェーンが歌う♪「素晴らしきこの日」も美しく、インタビューではセットがイマイチと言っていましたが、私には十分美しい風景に見えました。
そして本作の中で特に私が好きなミュージカル・ナンバーは6人の弟達に女性との付き合い方をジェーンが教える♪「ゴーイン・コテイン」と、本作最大の見せ場でもある♪「納屋の踊り」でのダンスシーンです。♪「ゴーイン〜」は見ているだけで楽しく、6人の兄弟の個性も生かせていて、とても素敵なシーンですし、♪「納屋の〜」はアクロバティックで、いろんなダンスや曲芸も取り入れた、最高のダンスシーンです。特にトミーとラスのダンスはずば抜けて素晴らしく、今見ても新鮮さを与えてくれます。
他にも二箇所のシーンでジェーンとハワードがそれぞれ歌う♪「貴方が恋におちた時」は美しい曲で、ラヴ・ソングとしてかなりのものだと思いますし、兄弟6人が山で木を切りながら歌う♪「Lonesome Polecat」もしみじみとした曲です。
なのでミュージカルには欠かせない音楽はどれも素晴らしく、何度聴いても感動を与えてくれます。そして振付を担当したマイケル・キッドも最初は気乗りのしないダンスシーンだったようですが、彼の見事な振付によって物語が何倍も素敵なものになっています。
俳優達も皆素晴らしく、それぞれが魅力を出していました。MGMミュージカルの中でも間違いなく名作の一つだし、今でも人気の高い作品です。予算が少なかったことで関係者はセットなどが欠けている箇所があると言っていますが、十分楽しくて、素敵なミュージカル映画には違いありません!!
これからも私は大好きな作品だし、何度も何度も楽しさを味わうために見ていくと思います。という訳で間違いなく最高のミュージカル映画なのです。〈allcinema ロビ−J〉

◎ロビ−Jさんの解説以上に言うことなし。こんな素敵な映画を昔はアメリカ映画界は普通に作っていたんだよね。何度見ても面白く、子供の頃に兄貴からこの映画の素晴らしさを吹聴されて、見ることが出来ないことに悔しい思いをしたことを想い出し、技術の発達で何度でも任意に繰り返し見ることの出来る幸せと、ホントは感動とは一回性のモノではないのかという疑いの間に右往左往する自分が居る。呑気呆亭