10月1日(火)「生きていた野良犬」

「生きていた野良犬」('60・日活)監督・脚本:舛田利雄 原作:藤原審爾 脚本:池田一朗 撮影:姫田真佐久 照明:岩木保夫 音楽:伊部晴美 出演:二谷英明/山内明/葉山良二/笹森礼子/芦田伸介/垂水悟郎
★武部次郎が刑務所から出てきた。五年前、やくざ同士の争いから殺人事件がおこり、次郎は兄太郎の身代りで逮捕された。次郎が入獄中に、太郎は何者かに殺され、平井一家は太郎の弟分大村、坂崎らに支えられていた。むなしく過ごした五年間の青春、兄の仇を討つ次郎の執念は火と燃えた。大村の子分が次郎を尾行した。ある新興都市−−次郎はチンピラの春夫を喧嘩から救ってやった。それが縁で五年前の仲間で、今は食物屋をやっている浜やんと妹の民子に再会した。春夫と民子は恋人同士だった。太郎の死因がわかった。何者かが彼の乗用車に爆薬を仕掛けたのだ。次郎は坂崎の経営するバーにのりこんだ。坂崎はうろたえた。一味の高村が犯人は坂崎と大村だと白状した。(goo映画)

◎スタッフが粒ぞろいの割には映像的にも見るモノがない平凡な出来上がりの映画である。プロロ−グの仕掛けに懲りすぎて見る者にストンと筋立てが入ってこないので、兄貴の罪を負って刑務所に入る次郎がただのマヌケに見えてしまう。その次郎を演ずる二谷英明にはこんなマヌケな役柄は似合わない。これまで裕チャンと対等に丁々発止してきた二谷がこんな風に使われるのは気の毒でならない。彼はフランス映画でいえばリノ・ヴァンチュラのような存在なのだから、ヴァンチュラの「ゴリラ」シリ−ズのような企画を立てて大事に使って欲しかったと思う。呑気呆亭